(一)この世界ごと愛したい
後で少し部屋に行ってみようかなと、考えつつ。
そんな私は今日、各将軍たちが王宮へ来てくれる日なので、アキト達に改めてよろしくと挨拶をしようと考えています。
それからはるうと稽古して、自分の調子も確認しておきたい。
「そろそろ私も行こうかなー。」
「ああ。」
身支度を済ませて、私はるうと広間の近くまで来ている。
セザール王には基本会いたくないので、私は中には入らないけど。他の将軍たちは既に王と中で謁見しているだろう。
出陣前の労いの言葉を掛けるために集められた将軍たちだけど。
あの阿呆王のことだ。
どうせ私を守れだとか連れ帰れだとか、そんなことばっかり言ってるんだろうなと容易に想像できる。
「…終わったっぽいな。」
「だね。」
私はそれぞれの将軍の元へ駆け寄り、軽く言葉を交わすがやはり将軍たちも忙しいのだろう。
足早に自分の軍の元へ戻って行く。声を掛けられただけよかった。
気持ちは分かる。
私も自分に率いる軍があれば一番バタバタしてる時だし。今回はアキト軍から借りるから私は暇なんだけど。
「あ、リンいるよ。」
「どこだ!?」
最後にアキトとトキが広間から出てきた。
「ちょっと時間ある?」
「うん。私は大丈夫だけど、二人は平気?」
「俺がいて前日にバタつくことなんかないから。とりあえずリンの部屋いこ。」
「と、トキっ!?」
私の腕をぐいぐいと引っ張り、トキは私の部屋に向かう。
ちゃっかり後ろからるうとアキトも着いて来ているけど。一体どうしたと言うんだ。
「リン、ちょっとまずいかもしれない。」
部屋に入るなりトキは深刻な顔で。
「どうしたの?」
「徴兵された兵たち、街でチラッと様子見てきたけどやっぱり今ひとつ士気が上がってない。」
「…やっぱそうだよねー。」
発布された内容には、大将であるレンの名前が書かれてるだろうけど。
民たちも初陣だと知っているだろうし、規模が規模なだけに不安もあるだろう。
「とりあえず各々将軍たちに頑張ってもらいたいけど。」
「おう、俺は問題ねえ。気合いの足らねえ奴は片っ端から性根叩き直す!」
「…こんな感じで、うちはアキトがとりあえず盛り上げるから何とかなるけど。他の将軍たちは正直分からないよ。」
城攻めをする以上。
兵の士気は勝敗を左右するポイントになる。
「セザールで私の知名度ってある?」
「そりゃあの王だし、レンとの結婚話が発表された時は大盛り上がりだったけど。」
「じゃあ儀式は問題ないかな。」
「は?」
私は一つの案を導き出す。
とりあえず上手くいく保証もないのでアキトとトキには伏せておくことにした。
「まあ、何とかやってみるよ。」
「最悪俺が全軍ぶん殴るから任せとけ!」
「アキトには助けられてばっかりだね。」
本当にありがとう。
戦が終わった時に改めてちゃんとお礼をしなきゃだなと、私は思った。