(一)この世界ごと愛したい
お願いだからもう。
それ以上、何も言わないで。
私はノイン将軍を躊躇いなく斬る。
そこに罪悪感も後悔もないことが、私には堪らなく恐ろしいことに思えた。
無情に斬り捨てた私を、るうはどう思っただろう。
「…さて。」
敵将に目を向けると、恐ろしい物でも見たように顔を青ざめさせて。怯え切った目で私を見る。
それを守る周囲の兵たちも同様で。
「……。」
ねえ、ハル。
起きたらちゃんと怒ってね。
私を、戦神なんかにしないでね。
「ごめんね。」
私は今は心にもない謝罪を口にして。
次の瞬間、全てを斬った。
敵将を。それを守る兵を。
敵という敵は全て斬り捨てて。
『ちゃんと見てるから…』
…ふと。
開戦前のアキトの声が頭を過った。
それは昔、ハルが私に言った言葉だったと今頃になって思い出した。