(一)この世界ごと愛したい
ハルは私を探して。
ふらつく足取りで立ち上がる。
それをるうが止めようとするも、ハルはそれを拒み地下室から出ようと試みる。
が…。
「ってえ…。」
二年も寝たきりで過ごしたハルの自慢の筋力は衰え、足にも思うように力が入らず座り込む。
ハルも、大いに戸惑っていることだろう。
非情な時の流れに、置いていかれたことに徐々に気付き始める。
「一体、何がどうなってやがる…。」
「…ハル。」
「リンは、無事なんだな?」
「ああ。」
ハルはその事実だけを確認し、ゆっくりベッドに腰掛ける。
「…リンはあの戦ちゃんと勝ったか?」
「未だに無敗記録更新中だ。」
「……。」
あの戦とは、ハルが倒れた二年前の対セザール戦。
エリクと戦ったあの戦。
ハルの時間はこの時から止まっているから、戦の結末を知らないのも無理はない。
「そうか。俺はあの時敵の矢で…って、あれからどんだけ経った?」
「…二年だ。」
ハルは思わず、息を呑む。
二年もの時の流れを恐ろしく感じた事だろう。
「…無敗記録って…リンは…。」
「…?」
「…お前リンに最後に会ったのいつだ?」
「二日前。」
「リンの様子は変わりないか?」
「…いつも通りだ。」
ハルはそこでようやく息を吸い込む。
そして安堵の溜め息を溢す。
「…無敗って、アイツ強くなったなあ。」
「リンはリンのままだ。お前のことに責任感じて、しばらくは手も付けられねえくらい荒れてたけど。今もお前を治す薬をちゃんと手に入れて、戦い続けてる。」