白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます
「遅いよ。もうとっくに始めちゃってるよ」
わたしたちの姿を見つけたエルさんが笑顔で手招きする。
ダンジョンの大樹は聖樹の扱いとなるため、登ることはもちろんむやみに触れることさえ禁忌とされている。
ロイパーティーはその立ち入り禁止の柵のすぐそばに陣取ってすでに宴会を始めていた。
昨晩も遅くまで、いやもしかするとオールナイトで酒盛りをしていたんじゃないかと思われるメンバーの中にはすでに寝転がっている者もいる。
花見に慣れているというハットリが場所取りから花見弁当作りまで手筈を全て整えてくれたらしい。
この日のために職人さんに発注していたというイグサを編んだ大きなむしろを地面に敷いて、そこにみんなで座ってくつろぎながらお酒を酌み交わしている状態だ。
仲間に入れてもらってエルさんの隣に座ると、イグサから爽やかな緑の香りがした。
なんだかとてもリラックスできる気がする。
「私もご一緒していいかな」
旦那様の言葉にメンバーたちが快諾する。
「どうぞどうぞ。ヴィーの旦那さんなんですから遠慮はいりませんよ」
大樹を見上げ、風に揺れた白い花が舞い落ちて来る光景に目を奪われた。
ふわりふわりと左右に揺れながら下降してくる白い花びらはキラキラ輝いていて、なんと幻想的なんだろうと息を呑む。
しかし、じっと眺めているとあることに気づいた。
「花は地面に落ちる前に消えてしまうんですね」
「そうなんだよ。どうにか残せないかと思ってさっきから凍らせてみたり小さな空間に閉じ込めてみたり、あれこれ試しているんだけど上手くいかないんだ」
エルさんが残念そうに言う。
地面に到達する前に消える花が大半で、たまに誰かの頭や肩に着地したり地面に落ちる花もあるけれど、何かに触れた途端に消えてしまう。
これでは押し花になど到底できそうにない。
なるほど、大樹の花が「幻の花」だとか「不老不死の効果がある」とか言われているのは、一度きりしか咲かない上に消えてしまって残せないからなのね。
目の前にひらひら落ちてきた花びらに手を伸ばした。
手のひらに落ちてきたそれが消えるのを待ってみたけれど、どういうわけか消えずにわたしの手のひらに乗ったままだ。
「あら?」
「え……」
わたしたちの姿を見つけたエルさんが笑顔で手招きする。
ダンジョンの大樹は聖樹の扱いとなるため、登ることはもちろんむやみに触れることさえ禁忌とされている。
ロイパーティーはその立ち入り禁止の柵のすぐそばに陣取ってすでに宴会を始めていた。
昨晩も遅くまで、いやもしかするとオールナイトで酒盛りをしていたんじゃないかと思われるメンバーの中にはすでに寝転がっている者もいる。
花見に慣れているというハットリが場所取りから花見弁当作りまで手筈を全て整えてくれたらしい。
この日のために職人さんに発注していたというイグサを編んだ大きなむしろを地面に敷いて、そこにみんなで座ってくつろぎながらお酒を酌み交わしている状態だ。
仲間に入れてもらってエルさんの隣に座ると、イグサから爽やかな緑の香りがした。
なんだかとてもリラックスできる気がする。
「私もご一緒していいかな」
旦那様の言葉にメンバーたちが快諾する。
「どうぞどうぞ。ヴィーの旦那さんなんですから遠慮はいりませんよ」
大樹を見上げ、風に揺れた白い花が舞い落ちて来る光景に目を奪われた。
ふわりふわりと左右に揺れながら下降してくる白い花びらはキラキラ輝いていて、なんと幻想的なんだろうと息を呑む。
しかし、じっと眺めているとあることに気づいた。
「花は地面に落ちる前に消えてしまうんですね」
「そうなんだよ。どうにか残せないかと思ってさっきから凍らせてみたり小さな空間に閉じ込めてみたり、あれこれ試しているんだけど上手くいかないんだ」
エルさんが残念そうに言う。
地面に到達する前に消える花が大半で、たまに誰かの頭や肩に着地したり地面に落ちる花もあるけれど、何かに触れた途端に消えてしまう。
これでは押し花になど到底できそうにない。
なるほど、大樹の花が「幻の花」だとか「不老不死の効果がある」とか言われているのは、一度きりしか咲かない上に消えてしまって残せないからなのね。
目の前にひらひら落ちてきた花びらに手を伸ばした。
手のひらに落ちてきたそれが消えるのを待ってみたけれど、どういうわけか消えずにわたしの手のひらに乗ったままだ。
「あら?」
「え……」