メールチェッカー 【2】

悪い事だと知りながら、それを繰り返すうち、次第に薄れて行くのが罪の意識。


メールが入っていたら消す。

この行為も、今では何とも思わず当たり前のように行うようになっていた。


リスクを背負った甲斐あって、麻生の魔の手から早人を守り続けることに成功している。

食事の約束が入りそうになれば自分が約束を入れ、明日飲みに行きませんかというメールがあれば、わがままを言って自分との遊びを優先させる。


早人は決して他の約束を優先させるようなことはなかった。

駄々をこねれば、苦笑いしながらも泉美の望みを叶えている。

そんな早人の優しさに浸りながらも、泉美は一度足を踏み入れた悪の行為から既に抜け出せなくなっていた。

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