一途な海上自衛官は時を超えた最愛で初恋妻を離さない~100年越しの再愛~【自衛官シリーズ】
よく晴れた秋空のもとの大海原に向かって、灰色の船艦が出航していく。開店前のうみかぜの大きな窓から、芽衣はそれを見つめている。
果てしなく続く青い色に、静かに両手を合わせた。
——お父さん、お母さん、みおさん、武志さん。晃輝さんをお守りください。
今は亡き人たちにこうやってお願いするのが、ここのところの習慣になっている。自分たちはきっと皆に見守られているのだろうと思うと心強く思えるくらいだった。
「またしばらく、寂しくなるな」
隣でマスターが呟いた。
「芽衣ちゃん、ごめんね。寂しい思いをさせる仕事で。こうなってみてはじめて俺は待つ者の寂しさがわかったような気がするよ。最近は、妻にも仏壇の前で謝ってばかりだ。寂しい想いをさせたことを」
少し寂しそうに言う彼に、芽衣は微笑んだ。
「寂しいは寂しいですが、幸せだと思います。身体は一緒にいられなくても、心はいつもひとつですから。お義母さんもきっとそう思っていらしたと思います」
悲しい出来事があってもなお、晃輝が父と同じ仕事を目指そうと決めたのは、その証拠のように思えた。
「だといいが。……さあいずもは出航したが、代わりにはたかぜが停泊してるから、今日も忙しくなりそうだ」
気合いを入れるようにそう言って、マスターは厨房に入っていく。
芽衣も気持ちを切り替えた。
ここを訪れた人が、美味しいものをお腹いっぱい食べて、笑顔になって帰っていってくれるように、今日も忙しい一日がはじまった。
キュッキュッと力を込めてテーブルをピカピカに拭いていると、通りに面したガラガラと開く。
振り返り、芽衣は声を張り上げた。
「いらっしゃませ!」
fin
果てしなく続く青い色に、静かに両手を合わせた。
——お父さん、お母さん、みおさん、武志さん。晃輝さんをお守りください。
今は亡き人たちにこうやってお願いするのが、ここのところの習慣になっている。自分たちはきっと皆に見守られているのだろうと思うと心強く思えるくらいだった。
「またしばらく、寂しくなるな」
隣でマスターが呟いた。
「芽衣ちゃん、ごめんね。寂しい思いをさせる仕事で。こうなってみてはじめて俺は待つ者の寂しさがわかったような気がするよ。最近は、妻にも仏壇の前で謝ってばかりだ。寂しい想いをさせたことを」
少し寂しそうに言う彼に、芽衣は微笑んだ。
「寂しいは寂しいですが、幸せだと思います。身体は一緒にいられなくても、心はいつもひとつですから。お義母さんもきっとそう思っていらしたと思います」
悲しい出来事があってもなお、晃輝が父と同じ仕事を目指そうと決めたのは、その証拠のように思えた。
「だといいが。……さあいずもは出航したが、代わりにはたかぜが停泊してるから、今日も忙しくなりそうだ」
気合いを入れるようにそう言って、マスターは厨房に入っていく。
芽衣も気持ちを切り替えた。
ここを訪れた人が、美味しいものをお腹いっぱい食べて、笑顔になって帰っていってくれるように、今日も忙しい一日がはじまった。
キュッキュッと力を込めてテーブルをピカピカに拭いていると、通りに面したガラガラと開く。
振り返り、芽衣は声を張り上げた。
「いらっしゃませ!」
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