攻略不可能なクソゲーのヒロインに転生していたので、殺される前に離脱したい 〜溺愛ルート? 何それ?〜

初めてレオンに話しかけられました


「あった。図書室!」
 

 身代わりとしてワトフォード公爵家へやってきた私は、貴族の勉強をするために何度か図書室に来たことがある。
 綺麗に整頓された、静かでバカ広い部屋だ。
 


 この家の図書室、学校のよりも広いんだよね。
 いくらレオンが本好きだからって、こんな図書室を作っちゃうワトフォード公爵家ってすごすぎる……。



 そんなことを考えながらゆっくりと扉を開ける。
 中に入ってすぐ右にあるカウンターにいたジェフが、私に気づいてニコッと笑顔になった。


「おや。今日もお勉強ですか? フェリシー様」

「いえ。あの……今日は、ジェフさんにお願いがあってきました」

「お願い? 私にですか?」

「はい。この紙を本みたいにしたいんですけど、どうすれば良いのでしょう?」

「本?」


 自分の描いた絵本の紙をカウンターの上に載せると、ジェフがつぶらな瞳をパッチリと開けた。
 見てもいいですか? というような視線を送ってきたので、無言のままコクッと頷く。



 人に見られるのはやっぱり緊張しちゃうな……!



 ドキドキしながらその様子を見ていると、パラパラと紙をめくっていたジェフが感心したような声を出す。


「これは……フェリシー様が考えたお話ですか? すごくおもしろいですね」

「ありがとう。子ども向けのお話なの」

「なるほど。たしかに短いのにわかりやすくて読みやすいですし、子どもには特に良さそうですね」

「ええ」



 ごめん、ジェフさん!!
 めちゃくちゃ褒めてくれてるけど、この話を考えたのは私じゃないんです!!
 面倒なことになるから、私が考えたってことにしちゃうけど!!
 
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