地雷カプブルー
まさか恋敵と思っていた相手の言葉で、目が覚めるとは。
思ってもみなかった出来事に、額に手を当て溜息をもらす。
俺は再び表情を引き締めると、ベンチに置かれた折り畳み傘を手にした。
愛情色に染まった目が覚めるような真っ赤な傘。
勢いよく開き、勢いよく軒下から飛び出し、雨粒が跳ねる場所まで駆けていく。
なんで俺がわざわざ雨の中、傘を開いて立っているんだと不思議に思っているんだろうな、輝星は。
自分の想いを伝えたい。
怖いとか輝星の幸せとかそんなのなしで、俺の心に綴じ目込め続けた愛情だけを言葉にしたい。
湧き上がる欲が俺の表情筋を押し上げていく。
輝星に好かれたい。
大好きという感情に囚われ弱気になっていた俺自身もひっくるめて、大好きになって欲しい。
最上級の笑顔をうかべ、俺は輝星をまっすぐに見つめた。
「大好きだよ、輝星」