ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~
 
 一冊のノートを用意して、表紙には「L」の文字を書く。日記ではなく、自分と向き合うためのノート、Lノートだ。

 エリーの決意に触発されて、ルイーズもこれからのことを真剣に考えてみることにしたようだ。

 まずは自分自身について書いているようだ。



ルイーズ・ブラン ブラン子爵家 長女 16歳

カルディニア王国 出身
カルディニア王国女学院1年淑女科

髪色:ダークブラウン 髪の長さ:腰までのロングヘアー
瞳の色:グリーンアイ

(家族)
父 ルーベルト・ブラン 42歳
母 エイミー・ブラン 38歳
弟 リアム・ブラン 8歳
妹 ミシェル・ブラン 3歳

大切なもの:家族・家族同然の使用人のみんな・友人
好きなもの:植物(特にお花)・園芸・お菓子
嫌いなもの:特になし
得意なこと:料理(特にお菓子作り)


 書き出した内容を読み返すルイーズ。

(これ以上は……、なにもないかな)


——侍女科のカリキュラムは家庭的なこと全般を学ぶ授業が多い

——もしルイーズが一緒だったら


 ノートの端にエリーから言われた言葉を綴っているようだ。きっと、カフェでエリーから言われたことを思い出しているのだろう。

 エリーは何気なく言ったことかもしれないが、気持ちが落ちていたルイーズにとっては、嬉しい言葉だった。

「私にできることって……、何だろう」

 考えに煮詰まっていると、ルイーズの部屋をノックする音と共に、可愛い声が聞こえてきた。


「姉上」「ねえたまっ!」

 ルイーズはその声を聞くだけで、頬が緩み口角が上がる。
 愛する弟と妹の声だ。

「どうぞ! 入っていいわよ!」

 普段は帰宅そうそう弟と妹の部屋に向かうのだが、今日は男爵とオスカーに対応していたために、二人には会えていなかった。

 思考の沼に嵌まっていたルイーズは、考えることを一旦止め、部屋に入ってきた二人に笑顔を見せた。
< 10 / 168 >

この作品をシェア

pagetop