戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
「さて、ようやく二人きりでゆっくりと過ごせるね」
カチャリ、と扉の鍵を閉める音が嫌に耳についた。
デイモンはいつもの温和な笑みを浮かべたまま、シルファの元へと近づいてくる。
身体を捻ってどうにか距離を取ろうとするが、あっという間に距離を詰められてしまう。
顔を逸らして抵抗するが、顎を掴んで視線を合わせられる。
デイモンはじっくりとシルファの顔を眺め、「ああ……」と感極まったように息を吐き出した。
「やはり君は、ヘレンによく似ている……彼女の生き写しだよ」
ヘレン。
シルファの実の母親の名前がどうして今出てくるというのだろう。
(そうか、そうだったのね。この人はずっと、私を通してお母様の面影を追っていたのね)
いつもシルファを見ているようで見ていなかった奇妙な感覚に、ようやく合点がいった。
母の生前、二人がどういう関係だったかは知らない。
少なくとも、シルファは魔塔に入るまでデイモンの存在を知らなかった。
確かに母は優しくて儚げな美しさを秘めており、学園時代から言い寄る殿方は後をたたなかったと父から聞いたことがある。
そんな母と父は学園時代に知り合い、大恋愛の末に結婚したらしい。
当時、母には縁談の話が絶えず、熱心に言い寄ってきた者も少なくはなかったという。
もしかすると、デイモンもそのうちの一人だったのかもしれない。
そして今もまだ、デイモンは母の面影を追っている。
彼は愛妻家として知られていて、愛する妻と子がいるはずなのに――
カチャリ、と扉の鍵を閉める音が嫌に耳についた。
デイモンはいつもの温和な笑みを浮かべたまま、シルファの元へと近づいてくる。
身体を捻ってどうにか距離を取ろうとするが、あっという間に距離を詰められてしまう。
顔を逸らして抵抗するが、顎を掴んで視線を合わせられる。
デイモンはじっくりとシルファの顔を眺め、「ああ……」と感極まったように息を吐き出した。
「やはり君は、ヘレンによく似ている……彼女の生き写しだよ」
ヘレン。
シルファの実の母親の名前がどうして今出てくるというのだろう。
(そうか、そうだったのね。この人はずっと、私を通してお母様の面影を追っていたのね)
いつもシルファを見ているようで見ていなかった奇妙な感覚に、ようやく合点がいった。
母の生前、二人がどういう関係だったかは知らない。
少なくとも、シルファは魔塔に入るまでデイモンの存在を知らなかった。
確かに母は優しくて儚げな美しさを秘めており、学園時代から言い寄る殿方は後をたたなかったと父から聞いたことがある。
そんな母と父は学園時代に知り合い、大恋愛の末に結婚したらしい。
当時、母には縁談の話が絶えず、熱心に言い寄ってきた者も少なくはなかったという。
もしかすると、デイモンもそのうちの一人だったのかもしれない。
そして今もまだ、デイモンは母の面影を追っている。
彼は愛妻家として知られていて、愛する妻と子がいるはずなのに――