戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
「金に困った君の継母が、どこからか魔塔で魔力の強い子供を引き取っている話を聞きつけたのだろう。何を都合よく勘違いしたのか、魔力があれば魔塔に売れると解釈したらしく、嬉々として君を売り込んできた」


 義理の娘とはいえ、子爵家の長女を魔塔に売って金に替えようとするフレデリカに不信感を覚え、ルーカスは秘密裏にカーソン子爵家を調査したと語った。

 そこで分かったシルファの実の両親の不幸。
 そして後妻としてやってきたフレデリカと娘のフローラによって子爵家が乗っ取られ、財産が食い潰されたことを知った。
 子爵家の嫡子であるシルファが不当な扱いを受けていることも調査を進めるにつれて明らかになったという。


「調べれば調べるほど、君をあの家に置いておくことはできないと思った。だから、多少の色をつけて承諾の連絡をすると、あの女は二つ返事で頷いたよ。条件として戸籍ごと魔塔に引き渡し、今後一切子爵家との関わりを断つようにと伝えたときは一瞬渋った様子だったがな。そのまま即金で支払い、君は子爵家から魔塔に籍を移すことになった。少しでも、君が自由に生きる手立てとなれればと思ったんだ」


 シルファが継母によって魔塔に売られた事実は変わらない。しかし、その背景にあったルーカスの想いを知り、胸が熱くなる。


「そう、だったんですね。私、子爵家から解放されてよかったと思っています。あのまま残されていても、没落の一途を辿るばかりでしょうし……最悪の場合、どこかの好色親父に売り飛ばされていたかもしれませんし、それこそ娼館に放り込まれてもおかしくはなかったでしょう」

「そんなことを……!」


 ルーカスは怒りの色を滲ませて声を荒げかけたが、深く息を吐いてくしゃりと髪を掻き上げた。




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