青空
その思いに気づくのは、あまりにも遅すぎた。


この思いは、この絶望的な金網を越えることは二度と出来ないのではないか。

テツオはたとえようの無い不安感に支配されそうになり、右手を押さえながら思わず天を仰いだ。


「すごい心配だったの。爆風を傷口に浴びた人が、発病する可能性が高いってテレビで言っていたから。」

「ありがとう。大丈夫だよ。」

テツオはそう言うと、金網に正対し、ぬれた草むらに腰を落とした。
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