Anonymous〜この世界にいない君へ〜
「ハァ……。結局眠れなかったな……」

大きなあくびを一つした後、紫月はベッドから起き上がる。警視庁に行った後、昨日のアノニマスの会話を報告するべきかずっと考えていた。

(もしも話したら、アノニマスの秘密を話すことになる……)

解離性同一症、殺人、薬物……。まるでドラマの中のような話である。全てをぼかして説明など、悪知恵の働かない紫月には到底無理な話である。

「さて、どうするか……」

数十分悩み、結局アノニマスに話してもいいかを相談することにした。もう起きているだろうと電話をかける。しかし電話にアノニマスが出ることはなく、コール音だけが虚しく響いている。

(朝まで執筆をしていたのか?)

紫月は電話を切る。しかしこんなことは初めてだったため、心の中がザワザワと落ち着かなかった。その時である。

紫月のスマホにメッセージが届いた。差出人を見て紫月の胸に緊張が走る。差出人の名は「童話処刑人」だった。
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