百日後に離婚予定のはずが、溺愛モードに入りました!
「初めて会った夜会のこと、覚えてる?」
「覚えております」
 精霊のように美しい男性を見るのは初めてだったから、特に印象に残っている。

「バルコニーで君が機転を利かせて俺を助けてくれた。あの日、俺は君に恋に落ちた」
 私は驚いて、目を皿のように丸くした。

「ほんの少し会話をしただけですのに」
「それだけで君が聡明だということはわかった。ほかの男が君の魅力に気づく前に、すぐに自分のものにしたかった」
 それで夜会では私と別れてすぐ父を探し、後日結婚を申し込んだのだという。

「結婚までが早かったから少し時間が必要かと思って、それで百日後に……と言ったんだが、そんな誤解をされるとは思わなかった」
 戸惑って彼を見ると、彼は苦笑して私を見つめ返す。

「マリアン、君がほしい」
 その言葉の意味を思い、私は目を逸らした。鼓動は速くなり、顔は熱くなる一方だ。

「嫌なら遠慮なく言って」
「嫌と言うか、突然すぎて」

 まさか愛されていたなんて。
 彼の優しさが利用している後ろめたさではなく、愛に裏打ちされたものだったなんて。

「嫌じゃないなら、もう待たない」
 熱い瞳に見つめられ、私はのぼせたようにくらくらした。

「ずっと我慢してきたんだ。黒い髪も灰色の瞳も、白い肌も、すべてを俺のものにしたくてたまらなかった」
 私はただぼうっと彼を見つめる。

「マリアン。愛している」
 魔法にかかったように動けなくて、そんな私に彼はそっと口づける。

 優しい感触はやがて、燃えるように激しく私を翻弄し始める。
 熱を帯びた夜に、私はただ深く溺れていった。










 
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