海よりも深くて波よりも透明
「穂風の彼氏?」



クラスの別の女子が入ってきた。



「あっ、そうそう。彼氏の夏葉と、その友達の郁」

「うわ~まじイケメンじゃん!」



クラスの奴らが集まってくる。



まじで全員幼く見える。



穂風と同い年とか信じられねえな。



「夏葉、久しぶり! 隣の人は初めまして~」



穂風に案内された席に座ると、リアルもやってきた。



郁にぺこっと頭を下げる。



郁が俺のことを肘でつついた。



「このギャル誰? 穂風ちゃんの友達?」



俺がうなずくと、リアルがそれに合わせて「リアルっていいまーす」と挨拶した。



「そういえばリア、郁の通ってる大学の受験考えてなかった?」



穂風が思い出したようにリアルに言う。



「まじぃ? 学部どこ?」



リアルが興味ありげに郁に聞く。



郁が身を乗り出し気味にリアルと話し出した。



楽しそうだな…。



俺はそんな2人を無視してうちの姫にちょっかい。



穂風の指を軽く触る。



「おすすめどれっすか?」

「うーん、ケーキとドリンクのセット」

「じゃあそれで」

「はーい、ご注文ありがとうございまーす」



楽しそうな穂風が注文を伝えに席を離れていった。



その姿を見てたら、いつの間にかリアルと話し終わってた郁がニヤニヤとこっちを見てやがる…。



「穂風ちゃんのことじろじろ見すぎ」

「ほっとけ…」



しばらくして、白雪姫のコスプレをした男子高生が俺の席にケーキと紅茶を持ってきた。



穂風は別の客から注文を取ってる。



「岩崎と長いんすか?」



穂風の方を見てたら、ふとその男子高生に話しかけられた。



「んー、3,4ヶ月ってとこ?」



そいつに目線を移して答える。



「あー、そうなんすね」



それだけ言って俺の机の上にケーキセットを置き、ぺこっと頭を下げて行ってしまった。



なんだったんだ…。
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