海よりも深くて波よりも透明
「マジ美味いっす…」

「そりゃ良かった」



朝食を食べて、片付けを手伝って穂風の家をあとにした。



「ありがとね、また来な」

「こちらこそ、泊めていただいてありがとうございました」



気まずかったけど、穂風の親に気に入られたみたいで良かった。



穂風の家での様子も見れたし…。



門の外まで着いてきた穂風と向き合った。



軽く頭を撫でる。



「夏葉って頭撫でるの癖?」

「癖っつーか…うーんまあ、そうかもな?」

「それされるの好き」



穂風がそう言って俺に一瞬抱きついた。



俺も軽く抱きしめ返してから、穂風の頭をぐしゃっとした。



「じゃあまたな。電話する」



そう言って車に乗り込む俺。



ニコニコと俺に手を振る穂風をミラー越しに見る。



日に日に穂風が可愛くなっていくのを感じる…。



穂風自体が変わったわけじゃなく、多分俺の問題。



ミラーから穂風が見えなくなってもなお、穂風の笑顔が離れないくらい、俺は穂風にどっぷりらしい。
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