薬師見習いの恋

「そ、そうだよな、前にうちの妻が倒れたときもロニーが手当してくれて……あとでお医者様に診てもらったときに、ロニーの手当が良かったから助かったって言われたんだ」
　ひとりの男が言い、俺も、私も、と続く人たちがいる。

「マリー、礼を言う、下がれ」
　今までに見たことのないような鋭い目のエルベラータに、マリーはたじろぐ。

「ここはエルベラータ様に任せよう」
　ロニーに言われ、マリーベルは仕方なく下がった。

「言いたいことはわかった！」
　エルベラータが叫び、村民が一瞬黙る。期待に満ちた目がエルベラータに注がれるが、彼女は期待を裏切った。

「あの森は昨日付で国有地となった。無断で立ち入る者は容赦なく取り締まる！」
「そんな……」
　ゼロムは絶望に目を見開いた。

「あんな金の生る木が国のものに……どろぼうじゃねえか！」
　どこからか誰かの叫び声が響く。

「あの薬草は専門家による徹底した管理が必要だ。むやみに人が訪れればあたらと失うこととなるだろう。それは国家の損失だ」
「王女は我らに飢えて死ねというのか！」
　ルタンが叫ぶ。

「そのようなことは望まぬ。冬超えができるよう、国が村に支援を行う！」
「支援……国が？」
「まさか。今まで見捨てられていたのに」
　ざわざわとざわめきが広がる。