薬師見習いの恋
「殿下は真にこの村を救おうとしている。その誠を伝えるために俺の命を今ここでくれてやる」
フロランが剣を振りかぶる。
「やめて!」
マリーベルは慌ててその手をつかみ、止めた。
「信じる、信じるから!」
フロランは手を止めてマリーベルを見つめる。
彼女はただまっすぐにその目を見つめ返す。
やがてフロランがゆっくりと剣を下ろすと、マリーベルはほっと息をついた。
彼は結局、脅すだけで彼女の命を奪わなかった。
だが、自身の命を賭けると言ったときの声は切迫しており、本気なのだと悟った。
迷ってる場合じゃない。
マリーベルは自分を叱咤した。
こうして病気の人を案じる人がいる。ロニーを頼ってばかりじゃダメだ。
とにかくも薬を作って助かる人をひとりでも増やす。迷いも後悔もそれからで充分だ。
「薬草を採りに行きます。一緒に行ってくれますか」
「もちろんだ」
マリーベルの言葉に、フロランは目を細め、頷いた。
「魔獣の出る危険な森です」
「はっ! 病気に比べたら楽勝だ!」
フロランは言い捨て、次いで剣を従僕に向ける。
予想外の動きにマリーベルは言葉を失った。
フロランが剣を振りかぶる。
「やめて!」
マリーベルは慌ててその手をつかみ、止めた。
「信じる、信じるから!」
フロランは手を止めてマリーベルを見つめる。
彼女はただまっすぐにその目を見つめ返す。
やがてフロランがゆっくりと剣を下ろすと、マリーベルはほっと息をついた。
彼は結局、脅すだけで彼女の命を奪わなかった。
だが、自身の命を賭けると言ったときの声は切迫しており、本気なのだと悟った。
迷ってる場合じゃない。
マリーベルは自分を叱咤した。
こうして病気の人を案じる人がいる。ロニーを頼ってばかりじゃダメだ。
とにかくも薬を作って助かる人をひとりでも増やす。迷いも後悔もそれからで充分だ。
「薬草を採りに行きます。一緒に行ってくれますか」
「もちろんだ」
マリーベルの言葉に、フロランは目を細め、頷いた。
「魔獣の出る危険な森です」
「はっ! 病気に比べたら楽勝だ!」
フロランは言い捨て、次いで剣を従僕に向ける。
予想外の動きにマリーベルは言葉を失った。