意地悪な兄と恋愛ゲーム

晴斗の気持ち




「ちょっと…美咲!もう、夕飯なのよ!?」 


「いらない!」



 バタバタと廊下を走る足音が聞こえて、隣の部屋の扉がバタンと、盛大な音をたてて閉まった。


 自室のドアに背中を預け、座り込んだままの晴斗は、口元を手で押さえ、クツクツと笑った。


 巨大な石に潰されたかのように身体は重く、全身の関節は軋むように痛む。

 たぶん、この雨に濡れたせいで、今熱があるんだろう。


 着替える気にもなれず、ベッドの中に倒れ込む気力すらない。

 けれど、美咲の事を考えるだけで、この胸はいとも簡単に幸せでいっぱいになる。


 そんな単純すぎる自分に、本当笑えてきてしまう。




 
 唇を奪った。


 美咲は今、隣の自室で、俺にキスされた事にショックを受けているんだろう。

 腹を立てて、俺の事を心底、恨んでいるかもしれないな……


 キスを交わした直後の、呆然とした美咲の表情が、頭に浮かび上がり、再び笑いがもれてきた。



「かわいい…」



 何て、かわいい女なんだ。



 絶対に、俺のものにしてやる。






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