意地悪な兄と恋愛ゲーム
闇と雷
次の日の朝、美咲が部屋を出ると、ドアノブに図書室の鍵がかけられていた。
いつも通り、顔を洗い朝食をとる。
もちろん、今朝も晴斗はいない。
朝練に出ているからだ。
ホッとしたような、少し寂しいような、複雑な気持ち。
「昨日は、ずっと部屋にこもってたけど大丈夫なの?」
キッチンの中から母が心配そうに聞いてきた。
「うん、もう大丈夫」
「そう?ならいいけど。…最近はあなたたち様子が変よね。晴斗も昨日、昔の自分と美咲の事を突然聞いてくるし…」
「えっ?どういう事?」
「幼い頃、自分が美咲にどんな意地悪してたのか気になったみたい。だから、美咲のあの事も話したわよ」
「あの事?」
「ほら、私が買い物に出てる間、晴斗に押し入れに閉じ込められた事があったでしょ?だから美咲は今でも、狭い場所や暗い空間に、一人きりでいるのが怖いのよね?」
「も、もう平気だよ!あれから何年もたってるし、部屋も暗くして過ごしてるし!」
「あら、それは自分の部屋だからでしょ?」
確かに、晴斗に閉じ込められた時に、暗い場所が苦手になって、しばらくの間夜が怖くて仕方がなかった。
お母さんに、毎晩泣きついて眠れない日が続いたっけ?
でもそれも、もう何年も前の話。
いつからか、何も気にならなくなった。
「とにかく!私はもう克服出来てるの。お母さん、晴斗にはもう、余計な事を話さなくていいからね」
ムキになった美咲は、鞄を手に席を立った。