Rescue Me
 「でもお寿司だと今の時間きっと混んでますよね。テイクアウトするまで時間かかるかも……。そういえば駅の反対側にあるお寿司屋さんどうですか?あまり人がいないからすぐテイクアウトできるかも」

 「……その寿司屋ってあの怪しい看板の立ってる寿司屋か?」

 彼は眉根をよせて訝しげな顔をした。

 「そうです!実は外国人のオーナーが経営してて、ネタの切り方がすごいんですけど、なかなか新鮮で美味しいですよ」

 すると桐生さんは笑いながら私の頭を撫でた。

 「いや、いつもの店で寿司の出前を取ろう」

 「でも今のこの時間だったら結構時間がかかるかも……」

 「一時間くらいだったら待てるだろ」

 そう言って、彼は私をベッドの上に抱え上げた。

 「寿司よりも今は蒼をこのまま抱きたい」

 私の上に覆いかぶさると「愛してる」と言って額に優しくキスをした。そして出前が来るまで、何度も労わる様に優しく抱いてくれた。



 ◇◇◇◇◇◇



 翌週の夕方、私が会社を終えビルの外に出ると結城さんが待っていた。

 「こんばんは」

 彼女はいつもの美しい所作で私に挨拶をした。

 「結城様、いつもお世話になります。あの、社長の桐生でしたら本日は午後からずっと外出中でして、今日は外出先から直帰になっています」

 彼女にお辞儀をしてそう言うと、

 「違うの。今日は少しあなたとお話しがしたいと思って。もしよかったら近くのカフェでどうかしら?」

 結城さんはニコリと微笑んだ。
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