女嫌いな年下のおとこのこ



「じゃあ私達は家に帰ろうか」
「…おい、あいつが一緒だったとは聞いてねえぞ」
「ああ、一時帰国する予定ができたから一緒に帰りたいって出国前に急に言われて」
「図られてんじゃねーかこのボンクソ」
「もう何にもないってば」


先日聖から電話で聞いた話では、彼女の帰国が決まった際にもうこれで最後にすると飛鳥から告白を受け、改めて丁重に断ったらしい。

同じ男として同情の気持ちが湧くかと聞かれればそんなものは皆無だ。

瑞希にとっては飛鳥は聖に寄りつくハイエナでしかない。

この3年、どれほどヒヤヒヤさせられたか数え切れたものじゃなかった。

そんな瑞希の苛立ちを感じ取ったのか聖は瑞希の手を掬い、指を絡めて所謂恋人繋ぎというものをして「行こう?」と言うので、それをされてしまっては気持ちを収める他なくなった。

空いた手で聖からキャリーケースを奪い、並んで歩きながら隣接する駅へ向かう。



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