女嫌いな年下のおとこのこ
ひとまず周りに人がいない事を確認して家に上げ、そのままリビングまでなんとか移動して瑞希が少しでも落ち着くまで背中をひたすらにさすり続けた。
勝ち気で負けず嫌いの瑞希が大人しくいじめに遭うとは考えにくい。
となると、瑞希の様子から見て予想しうる最悪の事態が頭を過ぎる。
それを考えるだけで背筋がゾッとした。
一時間ほどして漸く少し落ち着いたところで事情を聞く事が出来た。
曰く、夏期講習に行っていた塾の講師の女が原因だった。
最もらしい理由で呼び出され、手を出されたそうだ。
中学生といえど瑞希は同年代に比べて小柄で細身だったから、大人の女の本気の力に思うように抵抗出来なかったようだった。
少年に対してそういった劣情を抱く大人は一定多数いる事は知っていたし、特に瑞希の場合はその整いすぎた容姿がそれを増長させたのだろう。
聖は警察へ相談すべきだと言ったが、瑞希が激しく拒否した。
それこそ事情が事情だけに自身の親にすら話す事も猛烈に嫌がった。
誰にも知られたくないと泣きじゃくる瑞希にどうしていいか分からない上、ただひたすらに聖の名前を呼び続けしがみついてくるその姿に、子供だった聖にはそれ以上何も出来なかった。
それ以来、瑞希は女が駄目になった。
近づいたり触られたりすると吐く程に重症だった。
結局、聖は瑞希が眠りに落ちた後に瑞希の母親に事情を全て話した。
そのせいで裏切られたと感じた瑞希とは距離が空いてしまい、以降は通学時に会っても無視されるようになった。
あの時の選択肢が正しかったか分からない。
一番に頼ってくれたのに、何も出来なかった歯痒さは今でも残っている。