女嫌いな年下のおとこのこ


ツキリと胸が痛む理由はわかっている。
寂しいのだ。

仕事はやり甲斐はあるが、繰り返す毎日は歯車のようだった。

がむしゃらに働いて、帰って寝て、また仕事。

週末は泥のように眠る、ただそれだけ。

そんな時に突然始まった瑞希との生活は、毎日雑だのだらしないだの怒られてばかりだったけど、楽しかった。

仲の良かった頃に戻れたようで嬉しかった。

けれど聖が望む瑞希を幸せは、女の自分ではあげる事は出来ない。

終わりの日が近づくにつれ自分の中の矛盾が大きくなっていく事が、嫌でたまらなかった。


そんな中、車内のアナウンスで次の停車駅が呼ばれた。


「俺ここなんで」
「うん、また来週ね」
「はい。お疲れ様でした」


軽く挨拶して、飛鳥がペコリと頭を下げながら電車を降りて別れた。

聖も一駅分そのまま乗った後に下車し、家まで徒歩10分ほどの道を歩く。

自宅マンションのエントランスを抜けて自分の部屋の前まで来た時、既に寝ているであろう瑞希を起こさないよう音を最小限に抑えつつドアを開けた。


しかし、何故か今日はリビングの電気が付いている。

早寝早起きを自で行く瑞希は例え週末でも日付を超えて起きている事はこれまで一度もなかった。


「瑞希くん?起きてるの?」


不思議に思いながらリビングのドアを開き、目に飛び込んできた瑞希の姿に驚愕した。


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