【電子書籍化決定】改題/犬猿の仲の狼王子から、なぜか求愛されています!?(旧題/関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている)
「い、いえ、返事は書くわよ」

 相手は王子だ。訪ねたいと希望しているのなら、公爵令嬢であるシェスティが断るわけにもいかない。

(そもそも断ったら、お父様がまた半泣きで慌てそうだわ)

 ひとまずシェスティは【いいですよ】というような返事を書いて、わざわざ玄関前で馬に乗ったまま待っていた騎士に、手渡した。

 彼は、シェスティが自分から持ってきたことに恐縮していた。

「あなた、私をここまで護衛してくれた人ね。いつもご苦労さま」

 騎士は目を見開き、それから嬉しそうにはにかんだ。

「それでお顔を見せていただけたのですね、光栄です」
「これ、皆様と一緒に食べて」

 シェスティは、自分のテーブルにも出されていたクッキーと同じものを入れた菓子袋を彼に手渡し、見送った。

 後ろにいたメイドたちが感動していた。

「お嬢様、あいかわらず素晴らしいお方ですわ……」
「これだと仕える騎士たちも待ち遠しいでしょうね」
「ええ、ファンも多かったですから。ただ……うまくいくかどうかは……」
「あの狼王子様、ですものね……」
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