浅黄色の恋物語
 5月も母の日を過ぎました。
母さんのことはいつも思い出します。
 目も耳も塞がれていたぼくをこの世に送り出してくれた人だから。
それも有って母の日には毎年団子を買ってきます。
 そしてそれを仏前に備えるわけです。
親孝行らしい親孝行は出来なかったから。
 子供の頃から共働きでぼくはいつも一人で留守番してた。
雨の日も風の日も雷の日も。
 でもさ寂しいなんて言えなかったよ。
言っちゃいけないって思ってた。
 そのことを母さんは死ぬまで悔やんでたんだね。
だから母さんを一人にしたくなくて今でもお供えを続けてます。
 再婚してもそれは変わらないと思う。
変えちゃいけないよね。
 久子姉さんは今日もマイペース。 のんびりゆったり。
相撲が始まったから毎日見てるんだって。
 5月だから東京だね。
施設に居た頃、一度だけ相撲を見に行ったことが有る。
力士に会ったことは無いけどね。
 ただ90年代に大関だったあの人は別。
 働いてた老健にその人の親戚だっていう人が居てよく話を聞きました。
その大関は引退して何年も経ってるけど、筑豊本線にはその人の名を取った快速?が走ってます。
 曙 貴乃花 若乃花 武双山 舞の海、、、あの頃が一番面白かったなあ。
「外人は横綱にするな!」って言い張ってる人も居たけど、、、。
 それから30年。 なんか変わったよね。
国技館も蔵前から両国に移ったし、、、。
 日本もずいぶんと変わった。 悪くなったね。
薬が蔓延しているし変な事件も多過ぎる。
何で薬に溺れるんだろう? 分かんないなあ。
 煙草まですっぱりと辞めちゃったぼくにはどうも分からない。
何をどう考えたら覚醒剤とか大麻とかヘロインなんかに染まれるんだろうか?
染まる人たちの心が読めない。
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