浅黄色の恋物語

　そんなモヤモヤした心のままで久子姉さんに会うわけにはいかないよ。
スッキリしたいなあ。　そう思いながら刺身を摘まんでいる。
　真鯛を鰤を蛸を、切りながら摘まんで飲んでみる。
酒だって変わってきた。　前は焼酎だったのに。
　しかも焼酎をロックで飲んでいたのに。
今は日本酒、それも濁酒ときた。
　ここしばらくは秋田県の酒を飲んでいたのに、今では岐阜県の本当に絞ってない酒を飲んでいる。
コップに入れてみるとトロトロと言うよりドロドロしてて本当の酒好きじゃないと飲めないなってのがよく分かる。
　それを舐めながら刺身を食う。　そして久子姉さんを思う。
どっかの貧乏な小説家みたいだなあ。
　でもさ、酒を舐めながら刺身を食うのって最高の贅沢かもしれないな。
そりゃあ金さえ出せば美味しい物はたくさん手に入るだろう。
それよりも「これ」って決めた酒とじっくり選んで買った刺身が有れば何も言うことは無い。
　若いころは「刺身で日本酒なんか飲めない。」って意地を張ってたのにね。
６０が目の前に見えてきたら食べ好みも変わるのかねえ？
そんなことを思いながら酒を舐める。
隣に誰か居ればもっと美味いのになあ。
　5月に入って初めて松川鰈を食べた。　やっぱり鰈の王様だね。
脂もあっさりしている。　鰤や真鯛とは全然違う脂だ。
　YouTubeでは見ていたんだ。　いつか食べたいと思っていた。
　刺身を切るようになって季節にも敏感になってきた。
やっぱり日本人はこうじゃないとね。
　温暖化のおかげで熱帯化している日本でも魚はまだまだ季節を教えてくれている。
人間だけが右往左往しているような気がして情けない。
　地球だって生き物だ。　暑くなったり寒くなったりするよ。
それをわざわざ取り上げて温暖化だとか冷却化だとか言って大騒ぎする。　滑稽な話だね。
　昔にだって熱くなった時期は有るんだし全体が凍っちまった時だって有るんだ。
地軸や公転軌道が変わるだけで気温も変わるんだよ。　人間にはどうしようもない。
それをやいのやいのと騒ぐからおかしなことになる。
騒ぐくらいならコンクリートを減らすんだよ。　アスファルトを減らすんだよ。
やるのはそこからだね。
だってコンクリートは地球の熱を逃がさない。
アスファルトは地熱の逃げ道を完全に塞いでしまった。
　だから海水温が上昇してるんだよね。
そうなると大雨や旱魃、異常な気温上昇が始まる。
地球全体がヒートドーム減少を起こすわけだね。
それが温暖化の正体だよ。
分かってないなあ。