低温を綴じて、なおさないで
𓏸𓈒𓂃
──「真咲?」
夢のなかで、直が“真咲”という女の子の名前を呟いた。聞きたくなくて、はやくさめたい夢なのに、現実世界に意識が帰ろうとしてくれなかった。
わたしと同じ制服を身に纏って、短いスカートを自身の身体の一部のように自由に可愛く揺らす。黒髪のショートボブがよく似合う彼女は、大きな黒目をうるわせて肩を震わせる。
「いかないで、なおくん」
小さくて可愛くて、守ってあげたくなるような、まっすぐに花が咲いたような女の子。
────森田真咲。
あの日の手紙の、差出人。
𑁍