低温を綴じて、なおさないで



葉月くんといると楽しい、時間が過ぎるのが早く感じる。


でもこれがすきなのか、葉月くんはわたしをどう思っているのか全く掴めないでいた。掴もうとしないでいる。



それに葉月くんは、直とは別ベクトルでかなりモテるひとだと思う。



生徒会長、キャプテン、サー長。指揮者や実行委員長、ゼミ長まで。ありとあらゆるリーダーを務めてきた、誰からも好かれるひと。目立つひと。



おまけに顔がかっこよくて、葉月くん目当てでサークルには女の子が殺到したとか。


かくいうわたしも葉月くんの顔はタイプすぎるので気持ちはわかる。



だからこそ、すきなんかじゃなく、一種の憧れ、芸能人を見る感覚でしかないんじゃないか、と思う。



兎にも角にも、恋愛のことになるとわたしは弱い。あまり深く考えたくない。



どんなに興味のないひとだって、直接すきだと伝えてくれたほうが楽だし、考えようと思える。






< 21 / 314 >

この作品をシェア

pagetop