低温を綴じて、なおさないで



「困っちゃうな。どこでそんなかわいーこと覚えてきたの」


「……く、口から勝手に」


「俺以外にも言ってたって考えたら嫉妬で狂いそう」


「……言ってない、こんなの直だけだもん」


「……ごめん、もっかい抱いていい?」


「……っ!」




その疑問系はまったく意味をなしていない。わたしが答える前にキスが落ちて、わたしを知り尽くした甘さとシーツの波に、沈んでゆく。


直のせいで溢れ出るわたしの甘い声も表情も、恥ずかしくてたまらないけど、もう、きみだけのものだよ。




< 248 / 314 >

この作品をシェア

pagetop