低温を綴じて、なおさないで
キープなんてできるなら、とっくに自分だけを見てくれるように動いてる。それができないから長年想いを拗らせて、あんな告白をされてしまうわけだ。
栞は俺をかけがえのない存在で大切に思ってくれている、はず。
けれど、恋人という唯一無二に当てはめようとはしていないし、その枠は常に埋まっていて、入り込む余地がない。
俺が“彼女”の枠を基本埋めているように、栞もまた“彼氏”の枠が空く期間は限られている。……俺以外の男が栞の隣に立ってはならない法律でも制定されねーかな。
……あぁ、今日の放課後は栞とスイーツを食べに行こうかな。愛おしくてたまらない栞のことを一瞬でも思い浮かべたら、無性に会いたくなった。
同じ高校を選ばなかったのが効きすぎている。高校が同じでなくとも、平気だと高を括っていたのが大間違いだった。
「で? 代わりは見つからないわけね?」
「別にはじめから代わりを探してるわけじゃない。誰も栞を超えられないから」