低温を綴じて、なおさないで




⋆。☁︎︎



「朝まで、」なんて可愛いお願いを前に俺の理性は全く機能しなかった。もう一度、嫌ってほど抱きしめた。




衝動に任せた身勝手な夜を拒まず受け入れて、同じ温度を返してくれたきみの心にも、俺と同じ想いが眠っていたらいい。



栞の部屋は昔から見慣れていたはずが、実家ではないこの部屋には数えるほどしかきたことがない。栞の部屋じゃないような違う場所のように見えたのは気のせいだろうか。


荷物を取りに自分の家に戻る前に、唇に温度を分けたら、頬に移っていってしまったみたいだ。



これ以上を散々求め合って、まだキスひとつで顔を赤くする栞が世界中の誰より愛おしくてどうにかなってしまう。


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