私達の長くて短い恋のお話
「きゃははは」

「あはは」

楽しそうに笑っている子供達を見ると、羨ましくなる。

私もこんな子供時代を送ってみたかった。

小さい頃は、勉強に、剣術や芸、色んな事を教わっていた。

すべて楽しくなんて無かったけど、勉強だけは、少しだけ、少しだけ好きになれた。

庭でのんびり花を見ていると、

「つね、何をしておるんじゃ!これから見合いがあると言っておるだろう。お前の顔でも受け入れてくれた相手に何という無礼をする気なんじゃ!」

「申し訳ございません。少しぼーっとしてしまいました。今すぐ準備をいたします。」

だよね、分かってる、''この顔''でも、ね。

私の顔には、子供の頃にかかってしまった天然痘のぶつぶつが、残ってしまっている。

私はこれが初めてのお見合いだ。

多分、これまでお見合いのお話が来ていないのは、この顔のせいだろう。

そしてきっと、今日のお見合いの相手も私の"この
顔"を見てがっかりして帰っていくのだろう。

そんなことは容易に想像できた。だから、期待なんかしちゃいけないのに、少し期待している自分がいることに気づいてしまった。

「もう、何やってるんだろう、私。」

そういえば、お父様に呼ばれていたことを思い出して、慌てて駆け出した。
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