Star Shurine Gardian ―星の大地にある秘宝の守護者―
魔剣との邂逅③
紫微垣が防戦一方だった。黒い剣を持ったガクルックスは、次々と剣戟を繰り出していく。フォマルハウトは秘剣で応戦するが、ことごとく黒い剣にはじかれた。
「どうする、このままじゃ……」
フォマルハウトがやられる! そう思ったものの、候補生たちは何もできない。動きが速すぎて手を出せないのだ。
しかし、カノープスが自分の七星剣を持って前に出た。
「ちょっとあんた、何する気!?」
ミアプラの言葉を無視し、カノープスは2人の間に割って入るように突進した。突然の伏兵にガクルックスがたじろぐ。
「師匠、加勢するぜ」
淡々と述べるカノープスに、フォマルハウトも驚く。
「ま、待てカノープス、君はまだ…」
そう、カノープスはまだ秘剣の一から三までしか習得していない。数カ月でマスターしただけでもたいしたものなのだが、今の中途半端な技量ではこの敵と戦えないとふんだ。
しかし――カノープスは地を蹴ってガクルックスに突進する。
「三の秘剣・三連突き!!」
カノープスの突きはガクルックスの両肩と心臓を確実にとらえた。が、深手にならないように後ろへ飛び下がっている。
「ちっ」
カノープスは舌打ちしながらも落ち着き払っている。修行での組み手や試合はこなしているが、実践はこれが初めてなのだ。にもかかわらず、この落ち着きは何だ?
「おい、お前の目的は何だ? 天牢庵への仕返しか? それにしては他の民間人を巻き込んでいるし、やりすぎじゃねえのか?」
「ふん…お前に話すことはない」
そう言うと、ガクルックスは後ろに飛び下がってアクルックスと逃げ出した。
「一体なんだったんだ…?」
アヴィオールがつぶやく。結局、彼らの狙いが分からないままだった。
「カノープス、大丈夫? けがはない?」
カペラがカノープスに駆け寄る。
「ええ」
無愛想に返す。たった今、生死を分けるような戦いに飛び込んだというのに、まるで動じていない。フォマルハウトはその様子を見て、「この少年の精神力は本物かもしれない」と感じた。
「あら? これ、何かしら?」
カペラが道に落ちていたものに気付いた。指輪である。しかも宝石が付いていて、かなり高価そうだ。
「これは…」
カノープスには見覚えのある指輪だった。母・マルケブのものだ。
天牢庵に引き上げた面々は、顔を見合わせて黙りこくっていた。
双子、死体を吸収した黒い剣、マルケブの指輪……その三つをつなぎ合わせるものは何なのだろう?
「あいつらを探すしかないな」
ルクバトが口を開く。双子が事件を起こした以上、彼らを探して捕まえるしかない。
「他にはどうだ? 例えば、カノープスの母親も何か関わりがあるかもしれないぞ」とフォマルハウトが言うと
「3人とも探そう。ほっておいたらまた何をするか分かったもんじゃない」
という結論になった。
翌日から、警備兵たちは三人を探すこととなった。しかし、容易に見つからない。東の都じゅうに捜索網を張っているのだが、手がかりがないのだ。もしかしたら、もう都にいないのかも――そんな声も出てきた。
候補生4人、フォマルハウトとカペラ夫妻は、いつものように修行に明け暮れた。手がかりが見つかるまでは自分たちの出番はない。それよりも、出番が来た時に戦えるよう備えておこうということだった。
しかし、フォマルハウトはミアプラの様子があまり思わしくないことが気がかりだった。今日も午前で修行を終え、午後は個室にこもりっきりのようだ。思春期の女子特有の精神状態なのだろうか? フォマルハウトは、一番弟子のミモザを個別に呼んだ。
「最近のミアプラはどうもおかしい。ミモザ、少し相談に乗ってやってくれるか?」
「承知しました、師匠。ミアプラは妹分のような大事な仲間です。任せてください」
「どうする、このままじゃ……」
フォマルハウトがやられる! そう思ったものの、候補生たちは何もできない。動きが速すぎて手を出せないのだ。
しかし、カノープスが自分の七星剣を持って前に出た。
「ちょっとあんた、何する気!?」
ミアプラの言葉を無視し、カノープスは2人の間に割って入るように突進した。突然の伏兵にガクルックスがたじろぐ。
「師匠、加勢するぜ」
淡々と述べるカノープスに、フォマルハウトも驚く。
「ま、待てカノープス、君はまだ…」
そう、カノープスはまだ秘剣の一から三までしか習得していない。数カ月でマスターしただけでもたいしたものなのだが、今の中途半端な技量ではこの敵と戦えないとふんだ。
しかし――カノープスは地を蹴ってガクルックスに突進する。
「三の秘剣・三連突き!!」
カノープスの突きはガクルックスの両肩と心臓を確実にとらえた。が、深手にならないように後ろへ飛び下がっている。
「ちっ」
カノープスは舌打ちしながらも落ち着き払っている。修行での組み手や試合はこなしているが、実践はこれが初めてなのだ。にもかかわらず、この落ち着きは何だ?
「おい、お前の目的は何だ? 天牢庵への仕返しか? それにしては他の民間人を巻き込んでいるし、やりすぎじゃねえのか?」
「ふん…お前に話すことはない」
そう言うと、ガクルックスは後ろに飛び下がってアクルックスと逃げ出した。
「一体なんだったんだ…?」
アヴィオールがつぶやく。結局、彼らの狙いが分からないままだった。
「カノープス、大丈夫? けがはない?」
カペラがカノープスに駆け寄る。
「ええ」
無愛想に返す。たった今、生死を分けるような戦いに飛び込んだというのに、まるで動じていない。フォマルハウトはその様子を見て、「この少年の精神力は本物かもしれない」と感じた。
「あら? これ、何かしら?」
カペラが道に落ちていたものに気付いた。指輪である。しかも宝石が付いていて、かなり高価そうだ。
「これは…」
カノープスには見覚えのある指輪だった。母・マルケブのものだ。
天牢庵に引き上げた面々は、顔を見合わせて黙りこくっていた。
双子、死体を吸収した黒い剣、マルケブの指輪……その三つをつなぎ合わせるものは何なのだろう?
「あいつらを探すしかないな」
ルクバトが口を開く。双子が事件を起こした以上、彼らを探して捕まえるしかない。
「他にはどうだ? 例えば、カノープスの母親も何か関わりがあるかもしれないぞ」とフォマルハウトが言うと
「3人とも探そう。ほっておいたらまた何をするか分かったもんじゃない」
という結論になった。
翌日から、警備兵たちは三人を探すこととなった。しかし、容易に見つからない。東の都じゅうに捜索網を張っているのだが、手がかりがないのだ。もしかしたら、もう都にいないのかも――そんな声も出てきた。
候補生4人、フォマルハウトとカペラ夫妻は、いつものように修行に明け暮れた。手がかりが見つかるまでは自分たちの出番はない。それよりも、出番が来た時に戦えるよう備えておこうということだった。
しかし、フォマルハウトはミアプラの様子があまり思わしくないことが気がかりだった。今日も午前で修行を終え、午後は個室にこもりっきりのようだ。思春期の女子特有の精神状態なのだろうか? フォマルハウトは、一番弟子のミモザを個別に呼んだ。
「最近のミアプラはどうもおかしい。ミモザ、少し相談に乗ってやってくれるか?」
「承知しました、師匠。ミアプラは妹分のような大事な仲間です。任せてください」