蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
彼は国内便2往復し、今日の勤務を終えた。私もほぼ同時刻に仕事を終えると彼から連絡があり一緒に帰宅する。
待ち合わせをすると一緒にタクシーに乗り込み私のマンションへ向かう。今日も泊まりに来ないかと言われたが彼の部屋にはないものがたくさんあり今日は帰ると伝えると残念そうな顔をされる。私だっていつも一緒にいたいと思っている。その思いが伝わるようにと彼の手をぎゅっと握った。すると彼の手にも力が入る。大きな彼の手はいつも中指で私の中指の付け根の骨をコリコリする。その仕草が彼の癖なのかもしれないけれど、私しか知らない癖なんだろうなと思うだけで笑みが溢れてしまう。
コリコリ……。
私も同じことをしてみると彼はハッとしたように私の顔を見つめてきた。そして笑ってまた私の関節をコリコリしてくる。
こんな小さなことも私には嬉しい仕草だ。

「ご飯食べてく?」

マンションに到着したところで声をかけると彼はタクシーを降りてきた。

「大したものないけどって言い忘れてた」

「はは、全然いいよ。一緒に食べられるだけで」

そんな甘い言葉をさらりと言えてしまう彼はすごいと思う。
部屋に入ると冷蔵庫を開け、ひき肉と余った野菜でチャプチェを作る。わかめスープを用意すると即席韓国料理みたいになった。きっと彼にはボリュームが足りないと思い冷凍庫にあった唐揚げも温める。

「こんな短い時間なのに悠里は本当にすごいな」

「ううん。手がこんでなくてごめんね。昨日のカレーの方がよっぽどかすごいよ」

食べて行くか、と誘ったのに大したものも出せず恥ずかしい。

「いや、悠里の方がすごいよ。それに一緒に食べるからさらに美味しいよ」

「うん、私も嬉しい」
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