蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
「お疲れ様です」

先輩に両脇を囲まれていると前の席に結城さんが座ってきた。結城さんは桐生さんと同じくパイロットで副操縦士。確か年齢も同じだったように思う。桐生さんは近寄りがたい雰囲気を持っているが、結城さんは気さくで身近なイケメンといった印象。ゲートを通る時にも私たちに声をかけてくれるのでかなり人気のパイロット。そんな彼が私たちの目の前にやってきたことに驚いた。

「お、お疲れ様です」

先ほどまでの剣のある声は消え、甘い声に私は驚いてしまう。

「ここ来てもいいかな?」

混み合っているせいか私たちの目の前に座ってもいいかと尋ねてきた。滅多にないこの機会を逃すものかと言わんばかりに彼女たちは猫撫で声で前の席をすすめていた。

「お一人なんですか?」

「あぁ、今日はこの後伊丹に2往復するんだけど早めに出社したから食事をしようかと思って」

トレイに乗せられたカツ丼と味噌汁を前に手を合わせ、食事を始める姿に好感度が上がる。そして先輩からの度重なる質問に笑顔で答えていて、休憩にならないのではないかと思うが私が口を挟むとまた揉め事になるのが目に見えるため黙っている。
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