蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
「俺個人をちゃんと見てほしい」

彼の切なる願いのように、握られた手は熱く、自分からは振り離せない。私が顔を上げられずに俯いていると、頭の上に何かが触れたのを感じた。ハッと頭を上げると先ほどまでテーブルを挟み適度に離れていた距離にいたはずが、すぐ目の前まで近づいており驚いた。そして、頭に降ってきたのは何だったのかわかってしまった気がした。
握られた手と、先ほど頭上に降ってきたものを思うと顔が火照ってきてしまう。

「チャンスが欲しい。俺は君をもっと知りたい。それが迷惑にならないように気をつければこうして会うことはできるだろ?」

職場で本来は話したっておかしいことはないのだが、周囲を気にする私に対しての妥協案だろう。ここまで言ってくれてもう断る言葉は出てこなかった。
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