蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜

「はぁ、今日も桐生さんは素敵だったわね。機長の宮下さんも素敵だけど、やっぱり桐生さんは別格だわ。眼福」

彼らが通り過ぎたあと、一緒にカウンター業務についてる先輩の声が聞こえてきた。まもなくカウンターを開ける時間だと言うのにまたこっそりと話している姿に同じ社員として恥ずかしい。でも彼女たちに注意なんてできるはずもなく、情けなくなる。
ようやく時間になり、カウンターを開けると続々と並び始めた。あっという間に機内への案内が終わりふと飛行機の方へ振り返ると操縦席で機長の宮下さんとふたり、チェックをしている姿が見えた。チェックリストを手にふたりで確認している姿は真剣そのもの。それだけ彼らの責任は重いのだと感じさせられる。飛行機事故は交通事故に遭遇するよりも低い確率だと言われるが、それはこう言った地道な作業と彼らの努力の賜物だと思う。
プッシュバックされ、飛行機が動き出した。
心の中で「気をつけて」と強く願うとふと彼と目が合った気がした。そして強く頷いていたように思った。