蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜
2回目の食事に行くまでなんだかあっという間だった。彼とこまめにメッセージのやりとりしていたのもあるだろう。
今回は前回話していた通り、焼き鳥に行こうと言われた。そしてまた人目を気にして現地集合、半個室のところだった。

「お疲れ様」

今回は翌日は休みのためアルコールを選んだ。船上パーティーの時にはシャンパンや軽めのお酒を飲んだが、今回は焼き鳥に合わせてビールを選んだ。
乾杯、とグラスを合わせるとぐいっと喉に流し込んだ。

「はぁー、美味い」

こういう姿は普通の男の人なのよね。
先ほど飛行機の中の姿を見た時とはまた違うので本当に彼には色々な面があるのだと思う。
焼き鳥を適当に頼むが、レバー多めでと付け加えられて思わず笑う。

「薬を飲んでるからレバー食べるより効果がありますよ」

「でも食べ物から摂るのも大事だぞ」

まるで親のような言い方に笑ってしまう。母からもよくそう言われて小松菜や貝類、鉄鍋で煮たひじきなどをよく食べさせられていた。貧血に効果があると聞けば何でも試してみてくれた。久しぶりに身体の心配をされたなぁとしみじみ思っていると口にレバーが入れられた。

「ほら、どんどん食べろ」

「はーい」

この1ヶ月弱のやり取りで船上パーティーの時のように少し砕けたやりとりになってきた。あの日はただ純粋に楽しかった。どれだけ「ただの瑛人さん」ならいいのにと思ったか。桐生さんじゃなければもっと違ったのではないかと考えてしまう。
でも今はこの微妙な関係が少しだけ心地いい。

「悠里ちゃん、次のシフトが出たから送るよ」

その場でスマホを操作し、シフトが私に送られてきた。

「さ、これでまた次の予定を立てようか。話を詰めないと君はすぐにフェードアウトしようとするからな」

正直今はそこまで関係を断とうとは思っていない。そのくらい彼とのやりとりが楽しい。
小春に話したらすごく興奮された。

「私が誘ったのに私にはそんないい人見つからなかったわ。でも悠里にはそんな出会いがあったのね。秘密の関係って感じでドキドキするね」

秘密の関係かぁ。その通りだけど、確かにドキドキする。
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