狂気のお姫様

第2節 筋肉痛の弊害

この学校は広い。

生徒数が多いこともあるが、それを鑑みても広いので、使っていない教室も多々あるみたいだ。

天のたまり場だってそうだ。あの屋上がある校舎はあまり使われていない。だから彼らのたまり場になっているのだろうと思うし、そのせいで誰も近づかないから閑散としている。

そして、私がこないだ女2人をボコボコにしたあの教室も、この校舎だったりする。

だってどれだけ騒いでも他の人に聞こえないんだもん。まぁ、羽賀愁が通りかかったのは想定外だったが。


だからだ。

静かなはずなのだ。

が、

ガスッ

「うぅ…」
「もう…殺してくれ…」

ゴッ

ゴスッ

ガンッ

物騒な呻き声と物騒な音が聞こえるのは何故なのか。


「最悪だ…」

あぁ、できればこの角を曲がりたくない。ていうか死んでも曲がりたくない。

音はこの曲がり角の先から聞こえるので、曲がった瞬間の景色は大体想像がつく。

そしてだ。この校舎で喧嘩するとなりゃ…、奴らのうちの誰かだろう。


「私って相当運悪くないか…」


はぁ、とため息をつき、意を決して角を曲がると、


「地獄絵図…」

屍と化した男たち。

「南無三…」

転がった死体たち(生きてるけど)はあまりにも無惨で、思わず手を合わせてしまうほどだ。


そしてその先にいるのは、

「あ、律」

やっぱりお前か!!!!!!!!!!


意識もなくぐったりとしている男の胸ぐらを掴みあげ、今にも殴りそうな姿でこんにちはしたのは、やっぱり銀髪。


「あー、早かったね」

「どういう状況ですかこれ…」

「んー、襲われた」


ケロッとした表情でまあまあ物騒なこと言ってると思うんだけど。

ていうか返り討ちのレベルが凄まじい。必殺仕事人レベルだ。

そして、驚くほど綺麗なのに、身震いするほど恐怖を感じる。人を人だと思っていないような……機械的に見えるのだ。


「この人たち…」

「3年」

「3年生?なんで…」

「知らね。俺らが気に入らないんじゃない?」

「な、なるほど」


確かに。彼らはまだ2年なのに"天"だなんだと謳われているからな。妬んでいるやつも少なくはないだろう。

しかし羽賀愁を狙うなんて。バカにも程がある。

ある程度実力がある人は、強者を目の前にすると大体の力量が分かる。敵わないことを分かって挑む奴もいるが、負けると分かって挑まない奴の方が多い。

こいつらは、ただ自分たちより年下の彼らが最強だと言われているのが気に入らないだけで襲った単細胞だろう。1人だと絶対敵わないから数で攻めたという口か。情けない。

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