狂気のお姫様

第2節 青天の霹靂

「ヘルメット事件、何回聞いてもおもろい」

「ネーミングセンス最悪だな」


練り梅をむしゃむしゃ食べながら、椅子の背もたれに頬杖をつくODA。こいつは本当にいつでも変わらないな。

駐輪場の屍の山は、目撃者も多いためか、やはり噂になっていたようで、小田の耳にも入っていたようだ。


「ちゃっかり巻き込まれている東堂まじでウケる」

「金髪銀髪まじで容赦ない」

「金さん銀さんのセット、1番遭遇したくないかも」

「その呼び方やめろ」


なんで奴らと遭遇すると、よく面倒事に巻き込まれるんだ、とふと思ったが、デフォでいろんな輩に絡まれている人たちなので、そりゃ遭遇したら高確率で巻き込まれるだろう。

しかもあの髪色だし、身長ももれなく高いし、目立つんだよな…。


「そういや私も今日の朝、長谷川さんに会ったんだけどさ」

「おお、アタックされたか」

「それは綺麗に避けた」

「可哀想」

「夕知らねぇか、っていきなり目の前に現れてさ」

「急」

「知るわけないよね」

「間違いない」



ちなみにだが、昨日の件をジローさんにきちんと報告したが…、有力な返事は特に返ってこなかった。

よりによって、陽ちゃんがいない時に学校に忍び込んでいたし、こちらとしても打つ手がない。

私の戦闘力については、バレてしまったからには仕方がないし、戦闘力があると言えども、組に関わっているということがイコールになるわけでもないだろう、と珍しくジローさんから慰めの言葉をもらった。

相当私がやらかした顔をしていたらしい。

ちゃんと自分で何が問題なのか、分かっているからこそ厳しく言われないんだろうけど。

ジローさんは私より私をよく見ている。


陽ちゃんはというと、自分が休んでいるときにこんなことが起きたもんだから、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

風邪がうつるのが嫌なので、遠くから慰めておいた。復帰した暁には、馬車馬の如く働いてほしい。




♪♪♪

「?」

ふと、携帯が震える。

こんな時間に、電話…?

なんだか嫌な予感がして画面を見ると、相手はジローさん。


「ちょっと電話出てくる」

「はーい」


何かがあったことは確実で、心臓が早く動くのが分かる。


「はい」

《律、今学校にいるな?》

「うん」

《今から俺が迎えに行く》

「えっ」


ジローさんがわざわざ?今から迎えに…?


《落ち着いて聞け》

ドクン

心臓の音が耳に伝わる。

ドクン

手が震えるのが分かる。

ドクン






《陽介が轢かれた》

「…………え?」

《意識不明で、病院に今いる》


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