年の差十五の旦那様 外伝②~いつか、それが『愛』になる~
「ずっと遠ざけていた。なのに不思議ね、この間ロザリアにこれをもらったとき、不思議といやな思いはしなかった。むしろ、懐かしかったの。それってきっと、私があの子を――リシェルの存在をうまく昇華できたってことなのよね」
「……アネットさん」
「こんな風に思えるなんて、ここに来るまでの私は想像もしていなかった。……私、今、本当に幸せよ」

 感極まったような声に、私の心が強く揺さぶられた。

「私だけ幸せになっちゃいけない。私が破滅することが、あの子にとっての償いになると信じていた」
「はい」
「それって結局、私の自己満足だった。優しいあの子が、そんなこと望むわけないのに。――楽なほうに流されていたの」

 アネットさんは、妹さんが亡くなったことを受け入れることができなかった。だから、自分のせいだって思って、自分を罰して。追いつめて、苦しめて、生きてきた。

 彼女の考えを否定することはない。むしろ、私も一緒だと思う。

 私もマリンになにかがあったら――同じような行動をするはずだから。

「前を向こうと思ったのは、奥さまのおかげ。それから同じくらい――あなたとマリンの存在があるのよ」
「私たち、ですか?」
「えぇ。あなたたちが無邪気に懐いてくれて、母親のように慕ってくれて。なんだか救われたの」
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