早河シリーズ最終幕【人形劇】
なぎさと麻衣子は目を合わせた。
「麻衣子、ちょっといい?」
「うん。有紗ちゃんごめんね」
「二人でお話があるんだよね。いいよ、ひとりで大丈夫ー!」
有紗はニコッと笑ってテーブルに置いた携帯電話を持ち上げた。スワロフスキーのラインストーンが全面にデコレーションされた有紗の携帯に太陽の光が当たって、スワロフスキーがキラリと光る。
有紗を席に残してなぎさと麻衣子はカフェのデッキに出た。病院の最上階に位置するカフェの外はウッドデッキになっていて冬のこの時期に人の姿はない。
「指輪、外したんだね」
なぎさの左手薬指には早河との婚約指輪がない。なぎさは自分の左手に右手を重ねた。
「今の有紗ちゃんには見せられないから外した。彼と私が結婚するって知ればショック受けちゃうから」
「そうだよね。結婚のことはタイミングを見て早河さんから言うのかな」
「だと思う。有紗ちゃんが私のこと嫌いになったらどうしよう……」
二人はデッキに設置されたベンチに腰掛けた。ベンチには日が差していて座面が暖かい。
「大丈夫だよ。有紗ちゃんにとってなぎさはお姉ちゃんみたいな存在なんだよ。早河さんの相手がなぎさ以外の人の方が嫌がると思うなぁ」
「うー……。でもあの子がどんな反応するかは怖いよ」
「私だって、隼人が選んだ人が美月ちゃんだったから隼人を諦められたの。隼人が好きになったのが美月ちゃん以外の人だったら、私はまだ隼人に片想いしてたかもしれない」
麻衣子は空に向けて大きく腕を伸ばして、それからゆっくり息を吐いた。
「木村さんの様子どんな感じだった?」
「まだメールしかしてないから仕事終わった後に隼人の家に行ってみる。美月ちゃんと連絡取れないことが心配みたい」
青空の下に見える巨大なビル群、東京の灰色の群れの中で次々と起きる異常事態に誰もが困惑している。
「隼人のメールに書いてあったんだけど、今朝撃たれて殺された竹本元議員……3年前に静岡の合宿で殺された竹本くんのお父さんなんだよね」
「そこで繋がってきてるのかぁ。竹本元議員はカオスと関わりがあったんじゃないかって仁くんが言ってた。用済みになったから始末されたんだろうって」
「カオスって怖い組織だね。莉央は……そんな組織にいるんだよね」
二人の視線が足元に落ちる。太陽の反対側に黒い影法師が伸びていた。先に麻衣子が立ち上がった。
「そろそろ戻ろう。有紗ちゃんが不安がっちゃう」
「うん。……麻衣子。莉央のことは私がなんとかする。そのためにずっと助手やってきたんだもん」
決意を固めたなぎさに向けて麻衣子が柔らかく微笑んだ。
「莉央のことはなぎさに任せた。頑張れ! 探偵助手っ!」
なぎさも釣られて柔らかく笑う。二人は北風と日向が混在するウッドデッキに背を向けて建物内に入った。
「麻衣子、ちょっといい?」
「うん。有紗ちゃんごめんね」
「二人でお話があるんだよね。いいよ、ひとりで大丈夫ー!」
有紗はニコッと笑ってテーブルに置いた携帯電話を持ち上げた。スワロフスキーのラインストーンが全面にデコレーションされた有紗の携帯に太陽の光が当たって、スワロフスキーがキラリと光る。
有紗を席に残してなぎさと麻衣子はカフェのデッキに出た。病院の最上階に位置するカフェの外はウッドデッキになっていて冬のこの時期に人の姿はない。
「指輪、外したんだね」
なぎさの左手薬指には早河との婚約指輪がない。なぎさは自分の左手に右手を重ねた。
「今の有紗ちゃんには見せられないから外した。彼と私が結婚するって知ればショック受けちゃうから」
「そうだよね。結婚のことはタイミングを見て早河さんから言うのかな」
「だと思う。有紗ちゃんが私のこと嫌いになったらどうしよう……」
二人はデッキに設置されたベンチに腰掛けた。ベンチには日が差していて座面が暖かい。
「大丈夫だよ。有紗ちゃんにとってなぎさはお姉ちゃんみたいな存在なんだよ。早河さんの相手がなぎさ以外の人の方が嫌がると思うなぁ」
「うー……。でもあの子がどんな反応するかは怖いよ」
「私だって、隼人が選んだ人が美月ちゃんだったから隼人を諦められたの。隼人が好きになったのが美月ちゃん以外の人だったら、私はまだ隼人に片想いしてたかもしれない」
麻衣子は空に向けて大きく腕を伸ばして、それからゆっくり息を吐いた。
「木村さんの様子どんな感じだった?」
「まだメールしかしてないから仕事終わった後に隼人の家に行ってみる。美月ちゃんと連絡取れないことが心配みたい」
青空の下に見える巨大なビル群、東京の灰色の群れの中で次々と起きる異常事態に誰もが困惑している。
「隼人のメールに書いてあったんだけど、今朝撃たれて殺された竹本元議員……3年前に静岡の合宿で殺された竹本くんのお父さんなんだよね」
「そこで繋がってきてるのかぁ。竹本元議員はカオスと関わりがあったんじゃないかって仁くんが言ってた。用済みになったから始末されたんだろうって」
「カオスって怖い組織だね。莉央は……そんな組織にいるんだよね」
二人の視線が足元に落ちる。太陽の反対側に黒い影法師が伸びていた。先に麻衣子が立ち上がった。
「そろそろ戻ろう。有紗ちゃんが不安がっちゃう」
「うん。……麻衣子。莉央のことは私がなんとかする。そのためにずっと助手やってきたんだもん」
決意を固めたなぎさに向けて麻衣子が柔らかく微笑んだ。
「莉央のことはなぎさに任せた。頑張れ! 探偵助手っ!」
なぎさも釣られて柔らかく笑う。二人は北風と日向が混在するウッドデッキに背を向けて建物内に入った。