早河シリーズ完結編【魔術師】
 美月と佐藤の関係は美月が結婚していることから不倫に見えてしまうかも……。していることはね、確かにそうです。

美月と佐藤の現在の関係性と、新卒時代のなぎさの既婚者との不倫、この二つの恋愛のどこが違うのか、いまだに悩みますね。

明確に違うのは、相手との関係性の“本気度”の違いですね。なぎさの過去の不倫は、なぎさは本気だったけど、結局は既婚男に遊ばれていただけだからね……。
(短編集【masquerade】のstory2参照)

 だから私としては、美月と佐藤の関係は綺麗に書きたくはないけど、汚くも書きたくなかった……が本音です。

 【白昼夢】では子どもと大人の狭間の17歳だった美月も完結編では28歳。佐藤は45歳。
28歳女性と45歳男性の立派なアダルティなので何が起きてもおかしくない。

 12年前は越えてしまった最後の一線。
過去に男と女の一線を越えた二人の理性と本能の狭間、究極のギリギリの選択。

息も乱さず格好よく銃撃戦してた45歳が17歳年下の好きな女の前では雄のフェロモン全開なところがね、佐藤さんそういうとこなんだぞ。あなたのファンはそういうとこにノックアウトされてるんだぞ!!(大声)

 第七章のバスルームとベッドのラブシーンは切なく美しいけど生々しく、を目指しました。
本番行為(挿入)のない性行為をペッティングと呼びますが、挿入よりもペッティングやオーラルセックスを書く方が生々しく感じますね……。

性行為は生殖行動なのでとても本能的で、していることは汚ならしい行為ですよね。
その汚ならしい行為を私は綺麗に表現したい。

 温度や湿度、シーツや衣擦れの音や息遣い、質感を読者に感じさせられるような、儚さと美しさも感じられて汚くなくいやらしくない、綺麗な官能シーンが書けるようになりたいものです。

目標は〈ぬめり気と匂いのある性描写を描く〉ですね。
ぬめり気と匂い、だいじ。お風呂シチュエーションの方がぬめり気や匂いの雰囲気が出て書きやすいので私の小説にはお風呂シーンが多いですね、はい。

 早河と貴嶋、美月と貴嶋、美月と佐藤と隼人、作者も読者も納得のいく関係性の結末とはどんなものだろうかと考えた結果はお読みいただいた通りです。

読み手によって様々な感想があるとは思いますが、これが早河シリーズで生きてきた彼らの答えでした。

 次はスピンオフのエピソードがふたつ。
【episode1.人魚姫 the last scene】と【episode2.父親奮闘記】このふたつのスピンオフで早河シリーズは終幕します。

彼らの生き様とその先の未来を見届けてあげてください。


あとがき END
→完結編スピンオフ に続く
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