両片思いだったのに略奪されて溺愛されました
杏の鞄の上にあったスマホが光る。
一度、器から顔を離してそれを確認した杏が、箸を一端器に揃えてスマホを手にした
みるみるうちに、杏の頬があがって、目が細く湾曲する
「ハジメ来るって」
「あ、マジで」
自分じゃ引き出せない、杏の笑顔。
こういうとき、ゲンには勝てないんだな、と自分の中にある不確かな気持ちは、だんだんと小さくなっていく
「ご飯も頼もうっかな」
「太るぞ」
「変わんないよ、ちょっとくらい」
ただ、杏の場合
色気に反映するわけじゃないから、――なかなか消えてなくならないんだよね。
この、愛しい気持ちが。