続お菓子の国の王子様〜結婚に向けて〜       花村三姉妹  美愛と雅の物語
温泉から上がり、畳の部屋に戻ると、雅さんは真剣な眼差しでタブレットを見つめていた。


私は小さな冷蔵庫からお水を二本取り出し、一本を彼にそっと差し出す。


「美愛ちゃん、ありがとう。温泉はどうだった?」

「気持ちよかったです。ちょっと長く入っちゃったかも……。雅さんはお仕事中ですか? 何か、私にもできることありますか?」


私の問いに、彼は一瞬だけ考えたあと、ふと意見を求めてくれた。


「うちの会社に、ちょっと在庫を抱えてる商品があってね。どうすればうまく売れるか、アイディアを探してるんだ」

「どんな商品なんですか?」

「ハーブティーなんだ。リコリスルート、エキネシア、エルダーフラワー、ダンデライオン……」

あっ、それって……! さっきお土産屋さんで出会ったドイツ人のご夫婦が話してたハーブだ。母国では風邪の引き始めに必ず飲むって言ってたけど、日本じゃあまり手に入らないって。

しかもそのご夫婦、伊乃国屋でよく買い物するって言ってたっけ。


「伊乃国屋の顧客って、駐在で来てる外国人家族が多いでしょ?ちょうど今の時期、風邪をひきやすいから、そういうセットがあると助かるかもって思ったの。いくつか種類を組み合わせて、ハーブティーだけのシンプルなセットとか、マグカップつきのギフトセットもいいかなって。Bon Bonのロゴ入りのカップとか、……、ぬいぐるみを入れたら可愛いと思うけど、今からじゃ間に合わないかな〜」

 
そう言ったあと、私はちょっとだけ口ごもる。やっぱり急には無理かも……、と、自分でも思ってしまって、ほんの少し残念な気持ちになった。


でも、雅さんが思いがけないほど嬉しそうな声で言ってくれた。

 
「それ、最高だよ、美愛ちゃん!」

 
えっ……、本当に? 


ぱっと顔を上げると、雅さんはすぐにどこかに電話をかけていた。どうやら副社長の大和さんに、今の話を伝えてくれているみたい。


Bon Bonのロゴ入りのカップや、
ぬいぐるみ、ギフト用のエコバッグも用意する方向で動いてくれることに。

すごい……、本当に、やってくれるんだ。


ただ、ロゴ入りグッズはカフェBon Bonのオープンに合わせて、2月からの販売になるとのこと。


私はそれだけで充分だった。嬉しくて胸があたたかくなる。

 
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