続お菓子の国の王子様〜結婚に向けて〜       花村三姉妹  美愛と雅の物語
ただここ数日、美愛ちゃんの様子が少し気になっていた。

 
仕事ではいつも通りきちんとしているし、笑顔も見せてくれる。けれど、家ではどこかぎこちなく、会話も減っている。

 
……、俺、また何かやっちまったか?

 
思い当たる節は、ない。けれど、聞いても彼女は『大丈夫』としか言わない。

 
このままじゃ埒が明かないと思い、思い切って、圭衣ちゃんと葉子ちゃんに連絡を取った。

 
社用で外出した帰りに、Cool Beauty本社に立ち寄り、2人を誘ってランチへ。

 
「急に呼び出してごめん。……、実は、美愛ちゃんのことなんだけど、何か聞いてない?」

 
2人は揃って首を横に振る。

 
そこで俺は、ここ数日感じていた違和感を話した。

 
「会社では普通なんだけど、家だと……、あんまり喋らないし、笑顔もどこか無理してる感じでさ。俺、また何かやっちゃったのかな……、心当たりがなくて」

 
真剣に話す俺に対して──
突然、2人は吹き出した。

 

「ぷっ」

『ぷっ』

 
おしぼりで口元を押さえて笑う圭衣ちゃん。
その隣で、肩を震わせながら必死に笑いを堪えている葉子ちゃん。

 
「本っ当に雅さんってさ〜……、普段はビシッと決まっててかっこいいのに、美愛のことになると急にポンコツになるよね〜!」

 
堪えきれず、葉子ちゃんは声を上げて笑い始めた。

 
「仕方ないわね。ここは“姉さま”として、私たちが協力してあげるわ」

 

そう言って、圭衣ちゃんは胸をポンポンと叩いて見せる。

 
確かに。俺は美愛ちゃんのこととなると、冷静さを欠いてしまう。

 
佐藤麻茉の一件も、いよりの件も、これまでに二度、彼女を泣かせてしまった。

 
……、三度目だけは、絶対に避けたい。

 
とりあえず、今回は“待つ”ことに決めた。
彼女が自分から話してくれるまで。

 
圭衣ちゃんと葉子ちゃんも、普段通りのメッセージで様子を探ってくれると言ってくれた。

 

だが結局何もわからないまま、レセプションパーティー当日を迎えてしまった。
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