The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
「さぁてルルシー。新婚旅行ですけど、何処行きます?」

「国内にするの?それとも国外?」

「やっぱり国外ですかね~。国内は見飽きてますし。今のトレンドは南国だそうですよ」

「南国!良いねぇ。アリューシャも行きてぇ」

「日焼けしないようにね、ルレイア」

俺の…執務室は今日も平和だな。

ルレイアも通常運転に戻ったようで何より。

これを見て安心しているのだから、俺も相当やばいな。

しかし。

「ルルシーは何処が良いですか?」

「…あのな、ルレイア」

「珊瑚礁の見えるホテルでルルシーと二人…。うふふ。考えただけで滾る」

「ちょ、やめろ。フェロモン飛ばすんじゃねぇ!アイ公!窓開けろ!」

「ここ嵌め殺しだよ」

不味い。このままだといつものペースに呑まれてしまう。

それさえ懐かしくて、別にこのままで良いんじゃないかなぁ、と思わせてくるルレイアの狡猾さよ。

そうはさせるか。

「聞け、ルレイア」

「はい。何処にします?」

ルレイアは最高にきらきらした目で俺を見つめていた。

手元には、何処から持ってきたのか、国内大手の旅行会社のものらしき、分厚い新婚旅行のパンフレットが何冊か。

更にそこに、ちらほらとゼクシ●まで混じっているのを俺は見逃さなかった。

こいつ…本気か。

「一応聞いておこう。さっきからお前は、何の話をしてるんだ?」

「新婚旅行の話ですが」

「…誰の?」

「も~。俺とルルシーのに決まってるじゃないですか~」

だよね。

外れて欲しいと思ってたけどやっぱりそうだよね。

「俺はお前と新婚旅行に行くつもりはない」

「…?」

そんな子リスみたいに可愛く首を傾げても駄目。

「何で俺が新婚旅行なんて行かなきゃならないんだ」

「あっ、ルルシーあれですか。新婚旅行は行かない派なんですか?仕方ないですね…それじゃ」

ルレイアは一瞬しょぼん、として。

それからまた嬉々として、今度は結婚式場の料金プラン一覧表を引っ張り出してきた。

「そのぶん結婚式を派手にしましょうか。何処で挙げます?海外挙式も良いですよね~」

「ドレスはどっちが着るの?」

「ルルシーですね。嫁なので」

「ちょっと待てお前ら」

聞き捨てならん。断じて聞き捨てならんぞ。

「誰がドレスを着るって?」

「ルルシー。大丈夫ですよ。ちゃんと俺が選んだ、フリルとリボンたっぷりの黒ドレスを用意しますから」

結婚式なのに黒なのか。さすがルレイア。

いや待て。感心してる場合じゃない。

「さっきからお前ら、新婚旅行だの結婚式だの、勝手なことを言いやがって」

「はい?」

「俺は!ルレイアと結婚するつもりはない」

言ってやった。ついに言ってやったぞ。

いや、前々から何度も言ってることだろう。

俺は、ルレイアとそういう関係になるつもりはないのだ。
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