The previous night of the world revolution2〜A.D.〜
「そうだ…。これ、一応見舞いの品」

「ありがとうございます」

持ってきた贈答品を、ルヴィアに渡す。

さっき、ルヴィア嫁に渡しておけば良かったな。

「本当に済みません、ルルシーさん。俺、ご迷惑を…」

「あぁ、そういうのは良いから。お前の迷惑は迷惑になってない。この程度で迷惑だって言うなら、ルレイアには今までどれだけ迷惑かけられたか分かったもんじゃないぞ」

「ちょっと~。ルルシー。俺に酷くないですか?」

「酷くない。お前はもう少し、ルヴィアのように謙虚になったらどうだ」

「謙虚?ルルシー、そうは言いますけどね。俺がルヴィアさんのように謙虚になったらどうなるか、想像してみてください。そんなの俺じゃないですよ」

…想像してみる。ルレイアが控えめで、謙虚な人間になったらどうなるか。

「…成程。気持ち悪い」

「そうでしょう?だから俺はこれで良いんです~」

「おい、こら…。くっつくな」

そしてルヴィア。お前は「微笑ましいなぁ…」みたいな目で見るんじゃない。

「何か不足はないか、ルヴィア。こちらで何か出来ることがあるなら…」

「いいえ、休みを頂けただけでも、もう充分ですから」

「そうか…。お前には、頼もしい嫁がついてるからな」

「はい」

ルヴィアは力強く頷いた。

「本当に、頼りになってます。ちょっと過保護過ぎるなぁとは思いますけど…」

「お前にはそのくらいの方が良いんだ。すぐ無理をするからな」

俺と、ルレイアが二人で一つのセットになってるように。

ルヴィアもまた、あの嫁と二人で一人なのだろう。

…まぁ…写真ばらまく、という脅しはさすがに怖いが。

逆に言えば彼女がそこまで言ってくれたからこそ、ルヴィアの回復も早かったのだ。

「早く完治して、嫁に恩返ししてやれよ、ルヴィア」

「はい、勿論です」

元気そうに頷くルヴィアを見て、俺もほっと一安心だった。
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