【完結】年の差十五の旦那様Ⅱ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷だと言われる辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
 そんなことを考えていると、不意に私の手が強く握られた。それから聞こえてくる、エリカの小さな声。

「……お義姉、さま」
「……エリカ」

 多分、それは寝言だったのだろう。それでも、ぎゅっと握られた手が温かくて。……この子は、ずっと苦しかったのだ。罪悪感に押しつぶされながら、自分を偽った。……それは、両親に認められるため。

「おと、う、さま、わた、し……」

 ゆっくりと紡がれる寝言は、とても弱々しくて。この子が、ずっとこのストーカー被害に一人で耐えていたのだと思ったら、胸が張り裂けそうなほど苦しかった。……偽善者だと言われるかもしれない。それでも、私はエリカのことを助けたい。

「……エリカ。大丈夫よ」

 ゆっくりと言い聞かせるようにエリカにそう声をかければ、エリカはぎゅっと手を握ってくれた。……お父様もお義母様も、エリカがこんなにも弱っていたのに助けようともされなかったのよね。……やっぱり、お二人のことは嫌いだ。

「シェリル。……悪いが、俺はいろいろと調べてくる。エリカ嬢の側に、いてやってくれ」
「……はい」
「サイラス、行くぞ」
「かしこまりました」

 私にそれだけ声をかけてくださったギルバート様は、サイラスさんを連れて客間を出ていかれる。残されたのは、私とクレアとマリン。それから、うなされながらも眠るエリカ。……このまま、この子を一人にすることは得策じゃない。でも、ずっと私が一緒にいてあげることもできないし……。

「……ねぇ、マリン」
「どうなさいましたか、シェリル様」
「マリン。エリカがここにいる間、貴女がこの子のお世話をしてあげられないかしら?」

 エリカの側に、誰かがいるべきだ。私はそう思って、マリンにそう告げた。
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